はじめに

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はじめに

 今回は、令和四年五月に人生初の手術と約二週間の入院を終えて、娑婆(しゃば)(!)に戻って来た私の体験談をお話しさせてもらいたいと思います。  あまり需要があるとも思えませんが、私自身の覚書(おぼえがき)として、折角だから残しておこうかな、という気持ちで。  最初に申し上げますと、私の受けた手術とは『人工股関節置換術(じんこうこかんせつちかんじゅつ)』でございます。  私には、『先天性股関節脱臼』という持病がありまして、年々状態が悪くなっておりました。  これは病気というより、「股関節の状態が健常な人に比べて悪い」という、生まれつきの身体的特徴とも言うべきものです。  普段は、かばうように行動していれば、日常生活にほぼ支障はありません。歩きすぎたりしなければ痛みもありませんし、命に関わる病気というのでもありません。  あ、そうだ。  私は『先天性股関節脱臼』と書いていますが、これは正しい表記ではありません。  正しい病名は『臼蓋発育不全(きゅうがいはついくふぜん)から来る変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)』というものです。  この病気は、主に、母親の子宮内にいた頃の座位が原因で起こるらしいのですが、近年は生後六ヶ月頃に行われる乳児検診で発見されて、学齢期前に治せます。大変な手術などは、ほぼ必要ありません。リーメンビューゲルという装具で治療できるのです。  この治療法は、1950年にチェコのパヴリック氏が考案され、1957年、日本の鈴木良平先生という方が技術を輸入されて、日本でも広まったようです。(注:滋賀県立小児保健センターのサイトを参照しました)  私は乳児検診で見落とされたのか、はたまた成長過程において、うまく股関節の臼蓋が発達しなかったのか不明です。多分、後者だと思いますが。  まぁね、私の世代(いくつやねんw)で、ど田舎生まれは病気治療においては不利だったと思います。←すごい偏見だ!  でも、私がそう思ってしまうのも仕方ない。なぜなら、私と同世代の都会育ちの方で、リーメンビューゲルで根治されている方を知っていますので。  さらに言えば、今と違ってエコー検査なんてものは一般的ではなかったし、乳児検診も流れ作業だったかもしれないし。  不運なことに、私は歩き始めも早く、足の開きも悪くなかったそうです。おまけに父方母方、一族の誰にも同じ病気の人はいません。見落とされやすかった、と推測します。  普通は、乳幼児期に、歩き方がおかしいとか足の開きが悪いとか、そういった目に見える症状で発見されることが多い病気なのです。    前置きが長い!  とにかく、私は股関節が脱臼しており、もはや末期の症状なので、人工股関節にするしかないのでした。
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