ステアーという女

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 少しでも人が住んでいたと思われる場所は例えビルが立ち並ぶ都会だろうが畑ばかりの田舎だろうが、全てが空から降る炎の塊によって焼かれて失ってしまったと小さい頃に学んだ。  私達はヴィレッジで生き、死ぬしかないのだろうか。等と思っていると時折、ヴィレッジの外で好き勝手やっているブリガンドが羨ましく思う時もある。  きっとこいつ等はこいつ等で数少ない汚染の少ない地域を見つけ、そこに住んでいるのだろう。  そう考えると、外界でも人間がまだ生きて行ける土地と言うのは少なからず存在するのではないか? と考えるようになっていった。  実際地下のシェルターだけでは人を収容しきれずに地上に拠点を拡大させているヴィレッジは少なからず存在する。大気汚染の比較的軽度な場所限定での話になるが。  そうだとしても、私にはまだ行ったことも見たことも無い世界が地上には沢山存在する。  いつからか思うようになっていた。私はそこで肺いっぱいに外の空気を吸い、ヴィレッジのみんなと外の世界で住んでみたいと。  幸か不幸か、外界の全てが熱波と寒波で滅んだ今。まともに稼働している空気を汚す工場などはほとんど無い。
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