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門は左右スライド式の物が五つ用意されており、1枚の厚さは三メートル程にもなる分厚い鉄の塊。人間が動かせる筈も無く、中と外にある端末を使用して機械操作で開ける仕掛けになっている。外の端末は鍵とパスワードで簡単には操作できず、祖先達がブリガンドの存在を知ってからは承認システムを起動させ、内部の人間から承認を得られなければ門は開かない様になっている。とてつもなく強固な守りの門ではあるが、大きな欠点が1つあった。
動作が極めて遅いのである。開閉にかなりの時間を必要とし、開閉動作中は動作のキャンセルや一時停止等が出来ない。完全に閉まるか開くかしない限りこちら側からの操作を一切受け付けないのだ。
それが仇になり、今回こんなブリガンド共に襲撃を受ける羽目になってしまった。
私は男に銃を突き付けたまま門の前に置かれた端末のコールボタンを押した。
<こちらヴィレッジ・ザラ。用件をどうゾ>
端末のランプがスピーカーの音声に合わせて明滅する。ノイズ交じりの音声だが私の聞き慣れた声であった。
自然に聞こえるが何処か片言な癖のある声だ。
「私よ、イサカ。見えてるんでしょ」
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