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キャラバン:前編
私は数十分ぶりのヴィレッジに戻って来た。
元は地下に広がる商店街。広い通路に沿って作られた店舗がひしめく場所。きっとその全てが機能していた時は多くの利用客で賑わい、活気に満ちていたであろう。
だが、ここがシェルターとして機能したその瞬間から、この地下街の店は全て閉じられた。
陳列棚にマットやビニールシートがかぶせられ、広い店内や通路が区画分けされ、店舗は居住スペースとされた。
飲食店の一部はそのまま食堂として使われているが、戦前程の凝った物は出る事はない。地下街の更に地下に存在する製造区に貯蔵されている食材や、私達探索隊が狩ってくる動物を調理する。
製造区である程度機械が全自動で食材を加工してくれる為、料理人は然程スキルが無くても焼くだの煮るだのができれば良い。
私は味に関して拘りはないし、そもそも味がどうの言っていられるほど贅沢など出来ない。
しかし、それでもこのヴィレッジの他より優れている点があるとすれば、名コックが食堂を任されている事だろう。
「ステアー!」
ぼんやり歩いていた私の背後から声がして振り向く。
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