キャラバン:前編

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「この前のブリガンドの襲撃の後に南部さん怪我したし、それでステアーが銃持って出て行くのを見たら何となく予想つくさ」  どうやら彼は私の見ない間に理知的になったようだ。  私と6つ違うだけの目の前の少年は私よりもずっと頭が良い様に見えた。  人の行動や、周りの空気と言う物を鋭く見抜き、考え、理解する力を持っているのだ。  探索隊に入らなかった彼を私は何処かで過小評価していた様だ。 「次のキャラバンはいつ来るんだろうね?」  私に頭に撫でられたまま、大きな黒茶色の瞳を爛々とさせている。  地上を行くヴィレッジ間の交易をする為に結成された集団の事をキャラバンと呼んでいる。  彼らは交易品を運ぶ運び人と、それを危険から守る為の護衛二人の最低三人、またそれ以上の人数で構成されている。  横浜のヴィレッジから来るキャラバンは時折ブリガンドを警戒し、隠密性を高める為に少人数で来る事もあった。  お互いのキャラバン同士が話し合ってある程度のルート決めをするのだが、ブリガンドの襲撃やミュータントの生息地域の変化によって頻繁にそのルートを変えている様だ。
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