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私はキャラバンに参加した事はなく、他のキャラバンが来る頻度など把握している筈も無い。
「わからないわね。どうかしたの?」
「塩がもうすぐ無くなっちゃいそうで……」
「それは大変ね。イサカは昔キャラバンの経験があるみたいで今のキャラバンに知り合いとかいるだろうし、後で聞いてみるわ」
私がそう言うと理緒は頬を緩ませながら笑みを零した。
「お願いね! そういえば昼に届いた肉が一頻り片付いたから、端材で何か作るよ」
「え、でも塩とか少なくなってきてるんじゃ……」
「良いの良いの、ステアーひとり分くらいで変わる量じゃないさ」
理緒は私の傍から離れると直ぐに踵を返し、駆けだす。そして振り向くと笑顔で私に向かって手招きをする。
つい先程までの張り詰めていた空気との落差に私は肩で一度深く息を吐くとその手招きに応じて歩き出した。
ヴィレッジの入り口に近寄る人間は少ない。
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