キャラバン:前編

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「お前には関係ない事だろ!?」 「関係無いわね。でも貴方が外に出て行って勝手に死んで、それを探索途中で見つけて、死体残して荷物全部はぎ取って、荷物は私達かブリガンドが持って行って、残された貴方はミュータントか食人趣味の人間に内蔵ぶちまけられて、骨までしゃぶられる事になっても、私にはやっぱり関係無いわね」  男は私が喋っている合間にどんどん顔が青ざめていった。 「わ、わかったよ……戻るよ……」  渋々と言った様子で散らかった荷物を集め出すと、すごすごと自分の居住スペースへ戻っていった。  それでも、と出て行ける度胸があればもしかしたら生きれたかもしれないが、こんな事で部屋に戻ってしまう様ではやっぱり彼は外に出て行けば生きてはいられないだろう、と内心残念に思った。  そうこうしている内に先行していた理緒が駆けて来た。 「もう! なにやってんのさー!」 「ごめん。自殺志願者がいたものだから止めてやったのよ」 「相変わらずお人よしと言うか何というか……」 「こんな世の中だからこそ隣人の事は気にしてあげる、それが人の情ってものよ」  私の言葉に理緒はニヤッと変な笑みを浮かべた。
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