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「南部さんの受け売り?」
「……うるさいわね」
図星だった。しょうがない。だって私は生き方の全てを南部から教えられてきたのだから。
でもこうして人に言われてみると妙に気恥ずかしかった。
自分でも気づかぬ所に妙な羞恥心があるとは思わなかった。無自覚に私は照れ笑いを浮かべていたらしく、後々まで私は理緒に弄られる羽目になった。
まぁ放っておいてしまった分を差し引いて仕方なし、と私は自分に言い聞かせた。
時々だが理緒はこっそり料理に使わない廃棄する食材で賄い料理を作って私に振舞ってくれる。
料理人達は自分達で配給する物は食べない、代わりに、余った多くの廃棄する食材の端材で料理を作って胃を満たす。
食事はこの世界を生きる私達にとっては重要な物だ。生きるのに不可欠であり、娯楽の代わりでもある。
そんな食事を提供してくれる彼らは尊敬に値する。疲れて帰還する私達を迎える温かい料理、それは明日を生きる為の糧だ。
理緒はこっそりと、帰還する私に賄い料理を作ってくれる。無駄なく食材を使うが、どうしても端材と言うのは出てしまう。二〇〇人分の食事を調理するのであれば当然と言えば当然だ。そんな大量に余った物の一部を食べれる様にしてくれるのである。
私は理緒と他愛も無い談笑をしつつ、温かい肉のスープを御馳走になり、そのまま自室で眠りに着いた――。
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