キャラバン:後編

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キャラバン:後編

 ――翌日。  エンドテーブルに置いておいた腕時計がアラームを鳴らす。  機械的で断続的、何の起伏も無い、ピピピ、と言う音が次第に大きくなっていく。  寝ぼけながら私は腕を伸ばし、見る事無く手探りでアラームを切ると瞼を擦る。  身を起こす。狭い自室だが、しっかりした個室なだけ恵まれている。  シェルターとして機能する際に使用される事を想定されて用意されていたしっかりした個室のある居住区は、現在居住区と呼ばれている地下街があった場所の更に地下にあった。  その規模はとてもお粗末なもので、三〇人そこらが生活するので精いっぱいと言うレベルの広さである。そして今ヴィレッジにいるのはぎゅうぎゅうに詰めて二〇〇人、エントランスのプレートに書いてあった収容可能人数は三〇〇人とあった。  一体どこをどう計って三百人収容可能と思ったのか。二五〇〇年にはヴィレッジ建造計画が始まっていたらしいが、平和ボケと言うのは計算もできなくさせるのだろうか。計画者と設計者は実際に利用される事等考えていなかったようだ。  それはさておき。今日は探索隊の仕事は非番だ。  時刻は朝7時。休日の朝にしては少し早く起き過ぎたか。
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