キャラバン:後編

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 顔を洗って頭を上げると、鏡には寝起きで目つきの悪い碧眼の顔があった。塗れた金色の前髪を雑に左右へ逃がしてやると台の上に置いてあった赤いヘアピンで留めていく。  鏡に映る自分の顔を睨みつけながら長い髪を後ろに適当に束ねていくと、半端な長さの髪が逃げる前にヘアゴムで締め上げる。腰より下まである髪を手繰り寄せ、何度かヘアゴムに通していく作業は億劫だが、義父にこんな時代だからこそ出来る限りの身だしなみはしろと口酸っぱく言われていたのを思い出してなんとか髪のセットを終わらせた。口うるさい義父だが、義父自身が口だけではなく短い髪をいつもセットし、髭の長さを整え、眼帯は幾つも替えを持っていた。だからこそ、私はその言葉に従った。  金髪碧眼、目が大きくて鼻もそこそこ高い。けど肌の色はというとそこまで白くない。見慣れた顔であったが、義理とはいえ親とこうまで似てないというのは少し寂しく感じる事がたまにある。
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