キャラバン:後編

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 イサカは取り分けられた肉のスープとパンを交互に頬張りながら反応する。 「口に物を入れたまま喋らないでよ。……そうよ。理緒が気にしてたわ。塩が少ないって」 「ん~、ボチボチ来るとは思うんだけド」 「ボチボチって何よ」  口の中のパンを、薄い塩と肉の出汁が利いたスープで胃に流し込むと、イサカは満足げに吐息を零した。  それを見ながら私もパンを口に運ぶ。  ……無味。塩が少ないと聞いていたが、思いっきりケチったのか味が殆ど無い。パサパサのパンは口内の水分を奪っていく。  私もイサカに倣ってスープを流し込んだ。 「多分1週間しない内にハ。大体半月に1回のペースで来るかナ。ヴィレッジメノウは距離的にそれ以上の頻度じゃ来れないシ、遅いとその間のお互いに不足している分の物を運ぶのに人員が必要になるからネ」 「ふーん、時間が合わないのか私はキャラバンとあった事が無いのよね」 「エントランスでそのままやり取りする訳じゃなくテ、管理区画でこっちのキャラバンと積荷の確認や今後の打ち合わせなんかもするかラ、人前にはあまり姿を見せないからネ」  ヴィレッジスノウとは横浜にある大型のヴィレッジの事だ。
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