ステアーという女

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 その腰には、ホルスターに収まって見えないがエムナインを持っている点からP二〇〇、九ミリ拳銃。それらを所持している輩が六人。きっとどこかの軍事施設から調達したのだろう。 「さて……」  私はグッと握り拳を作り、気合を入れると再び腰を落とし、ターゲットへ向かって忍び寄る。  この連中は数日前にヴィレッジに現れた。  私が不在の間に連中はヴィレッジの入口がある駅の地下街を襲撃した。ヴィレッジ警備隊や輸送護衛隊の一部が防衛に当たったが多くの怪我人と死傷者を出した。私の育ての親でもある南部は探索隊の隊長であり、かなり腕の立つ銃の使い手だったが、非戦闘員を庇いながら戦う事に慣れておらず子供を庇って腕を撃たれた。最終的に私の他に探索に出ていた探索隊がヴィレッジに戻って来て挟撃されると察したブリガンド連中は早々に撤退したみたい。しかし何も奪えなかったからと大人しく引き下がる連中ではない。再び奴らはやってくるだろうと、私も南部も考えていた。  奴らブリガンドは自ら地上に残った戦前の技術や食料を探したりはしない。それを持っている人間から奪った方が楽だと考える連中だ。
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