ステアーという女

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 目の前で百人以上が収容された大型のヴィレッジがあるというのに一度の襲撃に失敗した程度で諦める筈が無い。奴らはそれほどに強欲で残忍なのだ。  南部の傷の礼をしてやらなければ気が済まない。……等と直接は言わなかったが私は二度目の襲撃をする為に近くにいる筈の奴らを仕留める為、こうして機をうかがっていると言うわけだ。 ******  マスクを外したのは私は外の空気が好きだからと言う他に理由は思いつかない。この辺の空気も汚れてはいるが、他の土地と比べれば綺麗な方だ。  空気清浄機が稼働しているヴィレッジ内でも、過密な空間の息苦しい場所である。  こうしてマスクを外して外の空気を吸っていると、自分が今生きているという事を感じられた。マスクで視野が狭くなるのが嫌だったのもあるが。  以前一緒に行動していた探索隊の一人がマスクで死角になっていた側面からブリガンドの銃撃を受け、左目を失ったと言う事件が起きた。その時のブリガンドも私が始末したが彼は探索隊から降ろされた。
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