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「生きていたのか…!」
思わず呟くと、彼女は一瞬怪訝そうにし表情を硬くした。
「その説はご心配をおかけしたことをお詫び申し上げます。…そしてご挨拶が遅れましたことも。あなた様の侍女を務めさせていただきますマリエッタにございます」
そして彼女は優美な動きでお辞儀をした。表情は変わらず硬く、しかし微かになんとか作ったような笑み浮かべた。
俺は死んだと思った彼女が生きていた事実に殴られたような衝撃を受けていた。もちろん安堵と喜びでだ。
「…よかった。死んでしまったかと。私と関わったばかりに…」
「そのようにお考えだとまでは…………ご心配をおかけし申し訳ございません。…私はこの通りでございます。それに…いえ」
マリエッタ嬢は微かに目を見開くとなにか言いかけた口を噤んだ。
それに、の後の言葉が一番聞くべき内容である気がした。しかしマリエッタ嬢は居心地悪そうに視線を揺らす。
「貴女が無事ならそれでいいのです。それよりも私は早くここから脱出せねばならない。その上で尋ねたい」
つい表情が険しくなる。
「今の貴女は“何者”だ」
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