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SIDE 勇者
すぐに脱出を試みることも考えた。
しかしここはミナストリア伯の様子を見ておくことも必要かと思い直した。
中庭でお茶を、という不可解な誘いに疑問を持ちながらもマリエッタ嬢に連れられ行き過ぎた調度はなく、しかし品格を損なわない程度に装飾を備えた廊下を行く。
貴族生まれの者なら少し寂しいと感じるかもしれないが俺には心地の良い品に感じられる。
やはりここは本邸ではなく別荘なのだろう。
これまで見てきた貴族の屋敷と少し雰囲気が違うように思う。
粛々と歩むマリエッタに続き渡り廊下へ差し掛かると花の香がふわりと届いた。
「こちらが中庭でございます」
勝手知ったるマリエッタ嬢の様子では昨日今日に初めてここへ来たわけではなさそうだ。
やはりミナストリア伯とは以前から交流があり共謀に至ったのかもしれない。
花びらが淡い緑色をしたグリーンローズが群生している。その奥へ向かうと丸テーブルにつく一人の男がいた。
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