転生勇者は溺愛される

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 ベッドの反対側にティーテーブルがある。その上に一つ置かれた呼び鈴。   わざわざ彼らの手によって置かれたものだ。  きっと鳴らせば答える。  今のところ俺は客扱いだ。ひょっとすると部屋から出してもらえるということもあるかもしれない。  隙をついて逃げられる可能性がある。  深呼吸をして呼び鈴を手に取った。小さく冷たく、細工の美しい鈴だ。鳴らした音も見た目に違わず、魔界のものとは思えない美しい音色を響かせた。  そして数秒の静寂の後、部屋の扉が控えめに叩かれた。  「失礼いたします」と少女のような声がした。  これもまた不思議と聞き覚えのある気がする声だった。  滑らかに扉が開き入ってきたメイドに俺は息を呑む。  「マ…マリエッタ嬢…!?」  幼さという甘やかさを残した顔立ち、そして齢にしては凛とした風情の妻が静かに俺に頭を下げた。
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