ハルヒコ君のプロポーズ

第一幕

　ネットがダメだとなると、友達や身近な知り合いとなるのだが、ハルヒコは元来人付き合いが得意な方ではない。

　大学を出て入社した会社も人間関係で悩んで、半年で辞めてしまった。いまはウェブでホームページを作成する仕事を請け負っている。
　クライアントとのやり取りや打ち合わせはあるけれど、普通の会社員に比べると、周りに気がねなく仕事ができるウェブデザイナーという職業はハルヒコの性格には合っているといえる。

　知り合いももちろんいるが、しかし仕事関係の人間で悩み事を相談できるような相手というのはなかなかいない。

　話ができるとしたら……。
　――やっぱりあいつらになっちゃうか。

　数少ない友人たち――。
　彼らがどれだけ力になってくれるかはわからないけど、他に当てがないのだから背に腹は代えられない。

　ハルヒコはスマートフォンの電話帳を開くと、ひさびさに『友人』欄をタップしたのだった。