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「おい、ハルヒコ。大丈夫か?」
前を歩く中島リョウヘイが心配して声をかけてくれたが、出てきたのはうう……という呻き声ぐらいで、まともな返事を返せる状態はとっくに過ぎている。
揺れる視界の先にベンチが見えた。
あと少しでベンチに座れるという所まで来ていたが、もう限界だ。
胃のあたりを押さえながらしゃがみこむ。
「ハルヒコ?」
「ダメ……吐きそ……」
「おい、ハルヒコ!」
リョウヘイの声が頭の片隅で響いていたが、ハルヒコは呪いでも吐くように低く唸りながらその場に倒れこんだ。
「これは相当きてるね」
時間の問題かも――と呟いたのは、ハルヒコの顔を覗き込んでいた岩瀬タカシだ。
「まあ少し休ませとくか。俺たちも休もうぜ」
リョウヘイはタカシに声をかけベンチに座った。
隣に座ったタカシが訊く。
「でもさ、珍しいよね」
「何が?」
「ハルヒコからスポーツの誘いが来るなんて」
リョウヘイはああと頷いたが、すぐに今回のフットサルはハルヒコからじゃないんだと言葉を継いだ。
タカシは意外そうな顔を向ける。
「あれ? ハルヒコから連絡があったって言ってなかったっけ?」
言った。
が――。
「ハルヒコからは相談に乗ってほしいって連絡があったんだよ。フットサルの話を持ってきたのはシゲルのやつ」
「ああ、なるほどね」
タカシは、どおりで――と合点がいった顔をした。
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