第一幕

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 シゲルと言うのはリョウヘイたち三人共有の友人だ。  イベント好きな男で、何かと言うと参加するぞと声を掛けてくる。  今回はちょうどハルヒコの相談とタイミングとシゲルのフットサルの話が重なったというわけだ。 「で、ハルヒコ、何の話だったの?」 「さあ」  それはまだリョウヘイも聞いていない。  会ったときに話すと言っていたのだが本人がこの有様ではしばらく聞けないだろう。  タカシはそっかと気のない返事をするとベンチに寄り掛かった。  リョウヘイも背もたれの後ろに左腕を落とし、両足を前に投げ出した。  それにしても――。  こうして四人集まったのはいつ以来になるだろう。  それぞれ個別に会うことはあったが、四人全員が揃ったのはおそらくニ年ぶりぐらいじゃないだろうか。 「いやぁ、フットサルがこんなにキツイとは思わなかったなぁ」  リョウヘイのボヤキにタカシも同意する。 「いきなり試合だったしね」  体力には自信のあるリョウヘイだが、さすがに朝っぱら集合、即試合ではグチのひとつも言いたくなるというものだ。  デスクワークのハルヒコに至っては完全にグロッキーである。  みんなシゲルのバカが悪いのだ。  シゲルが集合時間を間違って伝えたものだから、リョウヘイたちはウォーミングアップする間もなく合流後、即試合という強行スケジュールを強いられたのである。 「あいつはやることがいちいち雑なんだよ」  リョウヘイの愚痴を聞いていたわけでもないのだろうが、その”雑な男„の声が近づいてきた。
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