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「おおおおおおおっ!」
運営本部に行っていた噂の本人が戻ってきたようだ。
「おい、ハルヒコォ!」
猛ダッシュで駆けつけたシゲルは倒れているハルヒコを引き起こすと
「おいハルヒコ、大丈夫か! しっかりしろ!」
と激しく揺さぶった。
「うあ、うっ……」
苦悶の表情を浮かべるハルヒコに、しかし、シゲルはまったく気づくことなくベンチの二人に噛みついた。
「リョウヘイ、タカシ! お前ら何やってんだ! ハルヒコが倒れてるのに呑気に休みやがって!」
「あのなあ、シゲル」
リョウヘイは経緯を話してやる。
「別に俺たちは知らん顔してたわけじゃねえぞ。本人が気持ち悪いっていうからそこに寝かせて休ませてたんだ」
「休ませてただと? 友達甲斐のない奴らだな。見ろ、こんなに弱っちまって。かわいそうだと思わねえのか」
シゲルは抱えているハルヒコをもう一度揺さぶった。
うぐうぅ……という声にならないうなり声が漏れている。
「そんなに弱らせたのはお前だろうが」
言い返すリョウヘイを横目に見ながらフンと鼻を鳴らしたシゲルは、どこまでも友達甲斐のない奴らだと見当違いな非難の言葉を投げつけ、ぐったりと頭を垂れている友人に
「ハルヒコ。俺だけは最後までお前の味方だからな」
と言って励ました。
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