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高校になると、止まった生理を戻す為に婦人科からピルを処方された。
胃のムカつきや倦怠感を感じながらも、まだ将来を描けていた私は堪えることを選んだ。
__普通に結婚して普通に子供を生んで。
今思えば、骨粗相症のリスクが上がろうと何か病気になろうと生理を止めておけばよかった。そうしたら、生理前の酷い落ち込みにも悩まされることはなかったのに。
しかしこの頃の私は普通を夢見ながら、無難に通学することだけを考えた。
通学電車。ざわめく教室。スクールカースト。
脳疲労をおこしながらも頑張った。
虐めにあわないように、教科書を暗記するかのようにクラスの人気者の振る舞いを真似したり。あぶれ者と思われたくなくて、大して仲良くもない子とつるんだり。
結果、クラスで浮くこともなく無難な学生生活を送れたけれど友情に恋愛にバイトと青春を謳歌していた子達のように今に残るものは何もない。
もしもあの頃に戻れるのならば、自分自身にアドバイスをしてやりたい。
あぶれたっていい。やりたいことをやれ。休みたいなら休め。本当に惹かれる相手と友達になってみろ。クラスという集合体からはみ出すことを恐れるな。
社会に出れば、集合体にみえても所詮は一人なんだから。
そして私の人生は、あと数年のうちに幕を閉じることになる。そして本当の孤独が待っている。
ならば、無理な努力なんてする必要はないしもっと羽目を外してラクに生きろ。
「あんた、宿は決まってるのかい?」
無愛想なお婆さんが、こちらをチロリと見ている。
気を抜くと私の思考は直ぐに過去へと逆戻り。だけどこの反芻からも死んだら解放される。
「いや、まだです」
正直、行き当たりばったりな旅。宿のことはこれから考えようと思っていた。
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