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「お、おはようございます」
入り口でお辞儀をすると、厨房からぜにこさんとがらこさんが顔を出す。
「あら、おはよう」
「おはよう。ジョリー」
昼過ぎまで寝ていた図々しい居候に、誰も文句を言わない。ここまできたら、逆に言って欲しいぐらいだ。
「おはよう。昼食べるだろ?」
でんこさんは、私の答えを待たずに厨房に声をかける。
「今日はアジの開きと卵焼きね」
「あ、ありがとうございます」
割烹着の下のショッキングピンクのブラウスに目をしばしばさせながら、ぜにこさんからお膳を受けとるとでんこさんの隣の席に腰をおろした。
「……な、何かすみません」と、口にする私にでんこさんは眉を潜める。
「早く食べな」
「あ、はい。頂きます」
手を合わせてから、まずは豆腐とワカメのお味噌汁を啜ると空っぽの朝の身体に染み渡る。次は綺麗に巻かれた卵焼きを頬張ると、少し甘くてふんわりとした食感が心を癒してくれる。人参とインゲンとじゃがいもの入った肉じゃがは、出汁と甘さのバランスが最高だ。
「……美味しい」
「だし巻き卵はぜにこ。肉じゃがはがらこ。右に出るものはいないからね」
でんこさんの声が聞こえたのか、厨房から顔を出した二人がこちらに向けてピースしている。
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