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「じゃあ、次の駅についたら交代しましょうよ」と、座ったお婆さんは次にお爺さんが座るということで納得したようだ。
私は扉に背を預けながら、その微笑ましい光景に緩みそうになる口元を引き締める。
二人はこの世知辛い世界でも、優しさを分け合って生きている。そんな伴侶と共に生きる姿が、とても眩しかった。
結局、次の駅になってもお爺さんは「長生きしてもらわないと困るから」と、立ち上がろうとするお婆さんを座らせた。
すると「お父さんより先には死なないから安心して」と、笑っていた。
添い遂げる相手がいるから生きたいと思うのか。
生きたいと思うから添い遂げる相手が見つかるのか。
私には永遠にわならない問いだ。
二人が電車から降りていく姿を見送りながら、自分の老いた姿を想像しては一人苦笑する。
元々、長く生きるつもりなんてなかった。
だけどまさか、自分の余命を決めるのが自分自身ではなくなるなんて思ってもいなかった。
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