プロローグ

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 自分を受け入れることには慣れている。  それに医師からの宣告は、私にとって天使の囁きのように優しかった。  __頑張った。  __もう頑張らなくていい。  __自ら、下さなくていい。  親の老後のことも気にせず自分のことだけを考えても、責められることはない。  ただそこに、存在するだけの正当な理由を見つけた気がした。  術もない状態に愕然としている両親を見るのはさすがに辛かった。  死ぬまで泣き顔なんて見ていたら、こちらが安らかに眠れない。  そう思った私は、目的もなく貯めていた五百円玉貯金からお金を取り出すと旅に出ることに決めた。  __私は、両親から逃げたかった。
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