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だからだろうか。
現在ではなく過去を見つめる姿に少しだけ寂さを覚える。
もしかした真澄君にも同じ気持ちを味あわせてしまったのかもしれない。
隣にいるのに違う空間にいるような疎外感。
「目が遠いぞ!」
そっと肩を叩くと真澄君がその瞳に私を映す。
「どんな目だよ」
少しでもお互いが現在を見れるように。共有する時間を楽しめるように。
私もマイナス意識に捕らわれるのはやめよう。自分の為だけではなく共に楽しめるように努めよう。
「腹減った。あそこのレストランにでも入ろうか」
「うん」
私達は近くにあったお店に入ると、それぞれ食べたいものを注文した。
ネモフィラの時期には真っ青な色をしたメニューが沢山あると、お店の人が教えてくれたけれど普通の物を望むから支障はない。
私はハンバーガーを真澄君はカレーを頼んだ。
「真澄君ってカレー好きだよね」
水族館でも食べていた記憶がある。すると真澄君は「味覚が子供なんだ」と、笑う。
「ジョリーはハイカロリーな物が好きだよな」
「うん」
過去の私は太るのが怖くて節制していた。だけどもう時期死ぬのに我慢なんてしていられない。
今は過去の自分の分まで食べたい物を食べまくっている。
それに美味しい物を美味しいと思えることは、生きながらに死んでいる自分が唯一生きていることを感じられることだ。
私は今、ちゃんと生きている。
「「いただきます」」
二人でちゃんと手を合わせるとそれぞれの料理を口に運ぶ。私の場合は、ハンバーガーにかぶりつく。
「食いっぷりがいいな」
真澄君に笑われながらも豪快にハンバーガーを食べ終えると、口が食後のデザートを欲する。
確か外に売店があったな。と、考えていると真澄君がスマートとにお会計を済ませる。
素直にお礼を伝えると嬉しそうに微笑む顔を見て、相手が喜んでくれるのならば甘える勇気をもつことも必要なのかもしれないと思った。
それから私達は園内を散歩してカロリーを消費した。
そしてお目当ての売店を見つけると飛び付く。今度は私が二人分のソフトクリームを買うと真澄君も喜んで食べていた。
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