出会い

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   __次は水戸。  車内のアナウンスに目を開けると、ホームに出て常磐線いわき行きに乗り換える。  時間はたんまりとある。  特急に乗ることなく鈍行でここまで二時間。あと二十分程で目的地に辿り着く。  自動販売機で買った、ペットボトルのお茶を飲みながら車窓の外の景色を眺めていたら鮮やかな緑から青へと色を変える。  __次は日立駅。  あっという間に目的地に辿り着いた私は、急いでホームに飛び出すと大きく伸びをした。  キラキラとした太陽。ジージーと鳴く蝉の声。  いつもなら刺激過多で疲労困憊しているに違いない。  しかし、こんな刺激もあと少しでさよならだと思えば耐えられる。  薄暗い部屋が私を守る唯一の砦だった。  だけど人とは天の邪鬼な生き物で、終わりが近づくと思えば怖いものなし。自ら外に飛び出すことを選んだ私に、自分自身で驚いている。  見知らぬ駅。見知らぬ土地。  この、心がワクワクしている。子供の頃に新しい公園を見つけた時みたいに。  こんな感覚いつぶりだろうか。 「あっちだよ。あっち」 「ちょっと、待てよ」  駅の中央口を出るとカップルが横を追い抜いていく。  待ちきれないというばかりに「展望イベントホール」に向かう彼女を彼氏が追いかける背中をぼんやり眺めながら歩く。
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