おばあちゃんの足音

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▽  就職して家を出た時、おばあちゃんが悲しそうな顔をしていたのに気づいていた。でも、それよりも私は自分の幸せを優先してしまった。  今でも、あの時に戻ったとしてもその選択はしてしまうと思うけど。でも、戻れたとしたらもっといっぱいお話をして、もっとおばあちゃんの行きたいところ連れて行ってあげた。  どんなに悔やんでも、どんなに望んでも、戻れることはないけど。 「もう何回会えるか分からないから」  会うたびに言われる言葉に煩わしさを覚えた。何回も繰り返される過去の話に、苛立つ。帰ってきて顔を見せても、すぐに家を出る。  そんな日々を繰り返していた。  孝行をしようと思った時にはもういない。  繰り返し、語り継がれてきた言葉をどこか他人事で聞いていた。自分の身に降りかかるまでは。別に後悔はしないと思ってた、だって顔は出してたし。  話だって聞いてたと思ってた、適当だったかもしれないけど。
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