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書き終えた紙を丁寧に封筒に収める。おばあちゃんにはもう届かないから、おばあちゃんの好きだった小説に挟めた。
一息ついて、もう一回飲んだ麦茶はやっぱりなんだか懐かしい味がする。
外から聞こえる音につられて、窓の方を見れば梅雨明けしたはずの空が、急に曇り始めていた。エアコンを止めて、窓を開ければじわじわと体にまとわりつく温かい空気。
やっぱりおばあちゃんに抱きしめられてるみたいで、ぺたぺたという足音の幻聴まで聞こえそうだ。
やっと、おばあちゃんを見送った実感が私の胸の中にあって、また涙がこぼれてきた。今度会う時には、ちゃんと伝えなくちゃありがとうって。
次は私がおばあちゃんを抱きしめて、いっぱい話を聞こう。今まで聞けなかった分。それまで、待っててくれるかな。
待っててくれるといいな。
窓の外の雨はまだ穏やかに降り続いていて、私の体はまだ温かい空気に包まれていた。
<了>
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