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年の離れた姉は中学一年生の弟にとって、冬の陽だまりだった。
2年前に他界した、父のように穏やかで優しく、暖かな存在だった。
よく、弟の君島海斗を海に連れて行ってくれた。
鴎の海鳴りを聞きながら、ふたりではしゃいだ。海斗が中学三年生になって姉がお嫁に行くことになった。
相手はイケメンでお金持ちの商社マンだった。
姉の玲奈は苗字が変わった。住む場所は海斗の住む実家から15分と離れていない所だった。
姉は奇妙な事をいった。
『もし、お母さんが出す味噌汁の味がいつもと変わっていたら、何も言わず、私の家に来なさい。』
料理上手な母はおっちょこちょいなので、味噌汁だけは時々、味が変わる。薄かったり、濃かったりした。
海斗は姉の言いつけを守った。
姉が嫁に出てから、すぐ毎日の様に味噌汁の味が薄くなったり、濃くなったりした。
いつもの味と違うので、海斗は姉の家に行くことが多くなった。
新婚生活を営んで居るはずの姉なのに弟は歓待された。夕飯時にはいつも、母が作ってくれていた、味噌汁を再現して海斗に出してくれた。
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