不可解な殺人鬼

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 再犯すれば、犯行現場でそのチップを通して頭痛を起こし動けなくすることだってできる。  佐々木は、ドアを二つ開けた部屋で右側に並んだ椅子に腰掛けた。  やがて、別の男が部屋に入ってきて近くの椅子に座った。 「佐々木さん、休暇ですか? 今回はどれくらいですか? 僕は一ヶ月です」 「三か月丸ごと」 「月の刑務官は、確かに一年のうち三か月休暇で地球に帰ることができますよ。でも、いっぺんにですか?」 「ああ、配偶者も子どももいないから自由だ」 「そうですか」  佐々木は、目を閉じた。どうにもあの青山という男が気になっていけない。あんないい奴が本当に連続殺人事件なんて犯したのだろうか。証拠不十分でニ件しか立証できなかったらしいが。佐々木は今回の休暇で青山を観察しようと思っていた。  地球に着くと、空港から青山のやや後方を佐々木が歩く。青山は、表に出て空港バスの列に並んだ。佐々木は青山のすぐ後ろに並ぶ。青山の前には腰の曲がった老婆がいた。順に料金支払いのためIDをかざしながら中へと入る。  老婆の番になると、青山が動いた。
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