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「今でも、お兄ちゃんが悪いことしたなんて思えない。冤罪なんでしょ」
「記憶がないからわからないんだ。でも、心が落ち着かない夜があるのも確かだ。今日なんて、そんな感じだ。二十年ぶりに感じた。月では、こんな感じになったことがないのに」
「さ、私のうちに帰ろ」
妹の住所を知っている佐々木は、二人のタクシーを見送り、少し時間が経ってからタクシーで向かった。
今では珍しい木造の古い平家建てアパートだった。入居者募集中の張り紙があり、不動産屋の連絡先を控えた。
翌日、不動産屋に連絡すると、青山美沙の隣の部屋が空いているという。空室に困っていたようで、格安で三ヶ月入居の契約ができ、そのままアパートに向かった。
玄関で鉢合わせになった。
「今度、隣に越してきた佐々木です。あ、昨日、お会いした……奇遇ですね。よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします。ほら、お兄ちゃんも」
「あ、よろしくお願いします」
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