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16
『一緒に寝ない宣言』をされた次の日から、持ち前のストイックな性格を発揮したお前は、ランニングに筋トレに残りの休みを費やした。
食事は、サラダと少しのたんぱく質。
俺に出来ることと言ったら、身体が冷えないように、野菜たっぷりのスープを作ることぐらい。
広すぎるベットで、どうしてもお前の居場所を空けたまま端で眠る。
何回かソファに近付いて、その寝顔を確かめてはベットに戻る日々。
とうとう連休最終日、ソファで眠ろうとしたお前に、毎日ソファで寝るのは良くないと伝えた。
「.......俺はこっちの端で寝るから」
「......うん」
同じベットにいるのに、触れあえない......
.....はぁ....そろそろ我慢の限界なんですけど
眠ったら引き寄せてやろうと思ったのに、何度も寝返りを打っては寝付けなそうなお前。
「......眠れないのか?」
「.......」
「.....眠るまで....手を繋いでいようか?」
「.........」
お前は、暫くすると黙ったまま手を差し出た。
そっと握ると、小指だけに、きゅっと力がこもった。
お前の精一杯の強がりが可愛くて、顔が綻ぶのをどうしても止められない。
.........これは.....もしかして
次の日の朝、目が覚めて洗面所で歯を磨いていると、背中にぴたっとくっつく温もり。
「......おはよ」
なかなか開かない目を擦りながら、俺のお腹に手を回すお前。
その後も........
朝食を食べている時は、テーブルの下で俺の足に自分の足を乗せてきた。
「......足、あったかいね」
なんて言いながら足を擦り付けてる。
「......今日は、会社まで車で行かないか?」
そう言うと、ぱあっとお前の顔が華やぐ。
車の中ではずっと、ハンドルを握って無い方の俺の手を離してくれなかった。何度か、指と指の間に俺の指を滑り込ませると、たちまち赤くなる首もと。
そして今......
ソファでゲームをしている俺に、寄りかかって携帯を弄っている。
「........う~ん」
身体を伸ばしたお前が、今度は俺の膝に頭を乗せて寝転がった。
俺は ゲームに夢中になっている振りをする。
時々俺の腕の間から、上目遣いに俺を見るお前。
それに気付かない振りで、ゲームを続ける俺。
「......今日は久しぶりの仕事で疲れた。もうベットに入ろうかな」
独り言のようにそう言って、ゲームを置くと、お前の頭を持ち上げるように立ち上がった。
無理やり持ち上げられたお前の頭が、ぽとって音を立ててソファに落ちる。
「......おやすみ」
柔らかいお前の髪を撫でてベットに向かった。
いつものように、半分空けて横になる。
俺の考えが正しければ........
......きっと.....たぶん....
ガタガタと音がして、ベットが沈む。
.......ほら......もう少し
シーツの擦れる音。
背中に感じる温もりと、お腹に回った可愛い手。
俺は急いで身体の向きを変えると、今度こそ離さない、そう思ってお前をぎゅっと抱き締めた。
「.......もう....一緒に寝てもいいのか?」
「............」
「....俺....お前を触りまくるぞ」
「............」
俺の胸に、はりついてるお前の顔をそっと持ち上げる。
ばつの悪そうに、目を游がせてるお前。
「......僕......触って欲しっ.....ん」
俺の目を見ずに呟くお前が愛しくて、最後まで聞かずに唇をふさいだ..........
.......もう一緒に寝ないなんて、二度と言わせないからな......
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