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アラームの音で目が覚めると、隣に彼の姿はなかった。 今日も僕よりも出社時間が早いって聞いてたから、仕方ないんだけど…… 起きて「頑張って」って、言えば良かった.... 重い気持ちのまま支度をして、会社に向かう。今日も合同の打ち合わせがある。 ミーティングルームに行くと、熱心に話をする課長とあなたがいた。 あなたのアシスタントをしている人と三人で並んでるのに、二人だけに目がいってしまう。 僕は部屋の隅の席に座って、二人が視界に入らないように窓の外を見ていた。 「.......どうした?」 不意に頭の上から聞こえる親友の声。 「.....何でもない」 「......ふ~ん」 隣の椅子を引く音がする。 「.....あの人。頑張ってるな」 「....うん」 「.....ケンカか?」 「....ううん」 俯いたまま首を横に振った。 急に頬をむぎゅっと掴まれて、見上げる。 「何だよ!」 「....泣きそうな顔してる」 「.................」 「......俺にも話せないの?」 「.............」 顔を上げたから、並んで微笑む二人が見えて、僕は泣かないように唇をきゅっと結んだ。 「.......やきもち?」 「ち....違うよ!」 「..........それで?」 「だから.....違うよ!別に仕事なんだから、やきもちなんて.....」 「..............そういうことか」 長い間側にいるこいつには、直ぐに見透かされてしまう。 「......やきもちとか、そういう訳じゃなくて....」 「....なくて?」 「..........二人が並んだ姿がお似合いで....」 「.......お似合いで?」 「...彼の事見て綺麗に微笑むし、なんなら距離が近いし。それに.....彼にさりげなく触れたりするし……」 「.......それって、やきもちじゃないの?」 「........分かんない」 僕はまた下を向く...... 「......……あの人…まただ」 「....またって、何が?」 親友の呟きに思わず顔を上げる。 「.....あの人……さっきから、鎖骨の下辺りを時々触るんだ。痛いのかな.....」 鎖骨の下に触れる?僕は打ち合わせを始めようとしている彼を見つめた。 「.....ほら。また...」 「......あの場所は....」 彼の手が、昨日の夜、僕が痕を付けた辺りに触れる。 打ち合わせが始まっても、時々その場所に触れては微笑む彼。 急に気持ちが浮上する。 「.....あれは.....秘密の合図か?」 隣で僕の顔を不思議そうに覗き込む親友を、抱き締めたくなった。
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