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プレゼンは大成功に終わった。取引先の評判も良くて、うちの会社の勝ちが決まった。 事務所に戻ると、たくさんの人があなたを囲んで労う。皆の言葉に、 「ありがとうございます。俺の頑張りのおかげですからね」 なんてふざけて言いながら、耳を赤くして照れるあなた。 僕もその輪に加わり「おめでとうございます」と声をかけると、皆に見えないように、一瞬だけ僕の指に触れるあなたの指。 その一瞬で心が温かくなった。 僕の中の、ぐるぐるが解けていく感覚....... ………今日は一緒に帰りたい 僕は「やることがあるから」と先に帰る同僚達を見送って、デスクで彼を待っていた。 「......機嫌なおったみたいだな」 後ろから声をかけられ振り向くと、いつもより優しく微笑む親友に、少し恥ずかしくなる。 「...........この前は...ありがと」 「.....うん.....じゃあ帰るけど。あの人によろしくな」 「......うん.....じゃあね」 静かになった部屋で、今日のあなたを思い出す。 「......お疲れ様でした」 廊下で誰かと話す声。ドアの方に向かうと扉が開いてあなたが入ってきた。 僕の姿を見つけて微笑むと、そのままパフって音がしそうな勢いで僕を抱き締める。 「......フフフ。お疲れ様」 「.....うん。疲れた....待っててくれたのか?.」 「.....うん。一緒に帰りたくて」 「...嬉しいよ。..........帰ろう俺達の家に」 僕の耳元で、そう囁くあなた。僕はそっとその手を握った。 「.....まずは、ご飯」 玄関を入ると、あなたはそう言ってキッチンに向かった。 テーブルに帰りに買ったお弁当を並べて食べ始める。 「.....やっぱり....お前と食べる食事が一番美味しい」 ああ、また...... 僕の中の、ぐるぐるが解けていく..... 緊張から解き放たれたあなたは、僕がびっくりするぐらいの量の食事を、どんどん食べていく。 「....もう食べられない」 お腹を擦りながら上を向く、その姿が子供みたいで可愛い。 「.....次は、一緒にお風呂だな」 「....一人でゆっくり入ればいいのに....」 「......二人でゆっくり入るからいい」 そう言って、片付けもそこそこに僕の手を取りバスルームに向かう。 久しぶりに二人で入る浴槽。 「......今日は緊張した?」 「.......うん、した........やっぱり、いつまでたってもプレゼンは緊張するよな」 僕の肩が掴まれ、あなたの身体に凭れるように身体を動かされた。 「......でも.....今回は、お守りがあったから...」 「.....お守り?」 僕は身体を起こして、あなたの顔を見る。 「......これ」 あなたは、もう薄くなってしまった僕がつけた赤い痕を指差した。 「......あ.......あの.......これは」 「....ん?」 「......ごめんなさい。この痕は....僕がやきもちを妬いてつけたんだ......」 「...........知ってる」 「えっ?知ってる?」 「....ああ。教えてくれる人が居たから」 「..........あいつ.....」 あなたが僕の身体の向きを変えると、そのまま抱き締める。 「......嬉しかった」 「...........」 「.....俺.....愛されてるなって」 「............」 「.....眠ってる俺につけたんだろう?」 「............」 「.....その場面...見たかったなぁ」 「...........もうやめて」 僕は恥ずかしくて、あなたの首に顔を埋めて呟いた。 不意に僕の身体が起こされる。 「......あっ」 あなたの唇が僕の鎖骨の下に触れる。そのまま強く吸われた僕の肌には、あなたと同じ赤い痕がついた。 「......お揃いだな」 そう言って微笑むあなた。 あんなにぐるぐる回ってた僕の心が、真っ直ぐ真っ直ぐあなたに向かっていく。 僕が付けた痕...... あなたが付けた痕..... 二つの痕が付いた肌がぴったりと重なった。
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