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「わぁ……積もってる」 カーテンを端までぐっと開ける音と、お前のはしゃぐ声。 気だるい身体を窓の方に向けると、冬特有の低い陽の光が部屋の奥まで届いている。 「.........眩しい」 手を翳して雪に反射した太陽の光を避けながら、外を覗き込んで嬉しそうな顔をしている。 「……初雪、一緒に見れたね」 満足そうなその声が愛おしい。 子供のようにはしゃいでいるのに、その姿は素肌に俺のパジャマの上だけを着ていて…… お前には大きいそのパジャマの裾から見えるのは、白く艶かしい脚。 引き締まった太ももから、下に向かって視線を移していく。 「.......綺麗だな」 「......綺麗だよね...」 振り返って微笑むお前。 .........雪の事じゃないんだけどな 俺の目に映ったのは………足首に浮かび上がった赤い情事の跡。 そう……俺のつけた跡 昨夜…… 俺の熱を受け入れて、さらに深く誘うように腰に巻き付くお前の脚が妙に色っぽくて...... 思わず上体を起こし、その足首を掴んだんだ。 下から見上げるお前の眼を見ながら、足首に唇をおとすと、ぐっと締まるお前の中。 潤んだ瞳が俺を煽って...... さらにきつく吸うと、溶けるような甘い声をあげた。 .......ああ....また 思い出して下腹部に熱が集まる。 「………着替えたら、少しだけ散歩しに行こうよ」 ベッドに戻ってきたお前が、甘えるように俺の身体にすり寄ってきた。 「........寒いからやだ」 「....いっぱい着て行けば寒くないよ.....お願い、一緒に散歩したいよ」 唇を尖らせ、俺の顔を覗き込む。 「....先に..俺のお願い....叶えてくれたらな」 不思議そうに見つめるお前の手を、俺の熱へと導いた。 「......あ」 しっかりと形を持ったそれに、お前はなんとも言えない顔をして俺にもたれかかった。 パジャマの裾から手を差し入れて、その背中からなだらかな丘に向かって、ゆっくりと撫でる。 赤くなった首すじを見せつけるように、俺の肩に顔を埋めるお前。 「.....散歩.....楽しそうだな」 お前の耳元で囁く。 「....う……ん......言ってることと........やってることが....ちが....んっ」 薄く開いたその唇を少し乱暴にふさいでパジャマのボタンを外すと、俺の触れた部分から雪のように白い肌が熱を帯びていく。 本当にそう思ってるよ…… 雪の上で、子犬のようにはしゃぐお前の姿が見たいと 冷たく悴んだ手を、二人繋いで歩きたいと 帰り道、温かいコーヒーとブランチ用のパンを買って、嬉しそうに微笑むお前が見たいと だから.... 望むように散歩に出かけるから もう一度だけ...... 俺にしか分からないところに、俺の証をつけさせて....
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