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嫌な予感がする日。 朝から寝坊して、二人でバタバタしたくして、「昨日寝かせてくれなかったからだ」ってあいつに怒られて…… 電車もちょっとダイヤが乱れてて、駅から二人でダッシュして、慌てて乗ったエレベーターには部長が乗ってた。 「ちょうど良かった。話があるから部屋に来い」っていう部長の真面目な顔に、何かあるなって…… ……まさかこれだったとは 「福岡に新しく営業所を作る。そこに行ってくれ、二年ぐらいで軌道にのせて戻ってこい」 入社の時から世話になっている部長の業務命令。 NOという選択肢は初めからなかった。それでも、どうしてもあいつの顔が浮かんでしまう。 ………一緒に連れていくか? いや……あいつも新しいプロジェクトに参加したところで意欲的に仕事に向かってる。 周りに気付かれないように吐いた溜め息が、冬の寒い空気に溶けた。 その日の夜は、久しぶりにゆっくり時間をかけてお前を抱いた。 「もう……無理……」 そう言われたのも、いつ以来だろう……… 二人で上り詰めたあと、ぐったりと俺に凭れかかり、頬を上気させるお前が凄絶に色っぽかった。 白い背中を晒して眠るお前。その綺麗な背骨を一つ一つ確認するようになぞった。 ………どうやって伝えよう きっとお前は何も言わずに頷いたあと、俺に隠れて泣くんだろう。 それが分かっているから余計に……… 俺をお前に刻んでおきたい。このベッドをお前が広く感じないように。 初雪の日の出張の時から、漠然とあった予感。 もしかしたら、ここに来ることになるかも…… そう思ってた。そしてそれはお前もきっとどこかで思ってた事で……… 二年、離れたぐらいで何も変わらない…それはお互い分かってるけど…… 毎日感じていたお前の温もり、笑顔は、俺には、かけがえのないもので、それを少しの間でも失うことが寂しくてたまらない…… お前の身体を引き腕の中に抱き締める。無意識なのに、しっかりと俺の身体に絡むその腕。 しばらくこのまま二人で冬眠しようか 俺達の春が訪れるまで…… 誰にも見つからないように 互いの温もりに、鼓動に包まれて…… お前の額に唇を寄せ目を閉じた。今はただこの愛しさを感じて眠りにつこう。
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