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『今度の休みに逢いに行ってもいい?』 お前のメッセージ それと同時に送られてきた、思いきりの笑顔に心臓が早足で動き出した。 もう俺も限界だった……… 正直まだ二ヶ月、でも、もう二ヶ月。 お前に触れられない禁断症状に、そろそろおかしくなり始めてた。 『次の休みはいつ?』 気がつくとそう返してた。焦りすぎな返信に、お前が笑った顔が見える。 『今度の週末は休めると思う』 帰ってきた返事に自然と頬が緩む。 今度の週末まで………あと4日 『待ってる』 それだけ返すと、俺は慌てて家を出た。 この二ヶ月、ほとんど休み無く働いている。 ………今度の週末は絶対に休むぞ そう心に誓って、俺は仕事に向かった。 「顔がにやけてますけど、何か良いことあったんですか?」 一緒に本社から来ている後輩に、声をかけられて驚いた。 ………そんなに顔に出てたか? 「仕事のペースもいつもより上がってるし……もしかして……恋人がこっちに来ます?」 全てお見通しといった顔をして、俺のデスクの前に立つ後輩。 仕事も出来るうえに、気配りも上手なこの男に嘘は通用しない。 「……ああ…だから週末は休みたい」 そう素直に返事をすると、 「分かりました」 そう一言返事をし、デスクに戻って仕事を始めた。 今までの軽やかな笑顔を封印して真剣に仕事をするその横顔を、俺は誰よりも信頼している。 俺がこっちに来た一週間後、この後輩がこっちに現れた時は、さすがに部長に感謝した。 あと4日……… あと4日で、お前に逢える。 何日一緒に居られる?一泊?二泊は無理だよな…… 俺が居なくて、ちゃんと食事してたかな……何か旨い物作ってあげないと…… それとも、こっちの旨い物を食べに連れて行くか…… いやいや………そもそも部屋から、いやベッドから出してやれないかも知れない……… 「先輩!仕事してください」 しまった、すっかり妄想モードに入ってしまっていた。 自分のデスクからこっちを見て言う後輩に、頭を掻いて答えると慌てて仕事を始めた。 待ってるから……早く来い
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