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こんなに誰かに求められること……今まで生きてきた中であっただろうか…… 僕の知らないあなたの部屋。 まだ靴も脱いでない 玄関に入って直ぐに抱き締められた。 あなたの長い腕が僕の身体を引き寄せ、身動きとれないほど強く絡み付く。 僕の背中から頭の後ろに移動した手で、上を向かされた顔。あなたの目が僕の唇を捉えたのが分かった途端。 キスが止まらない……… 「……ん……んっ……フッ」 立っていられなくなった身体が壁に押し付けられて、息苦しいのに離れて欲しくなくて……… あなたの背中のシャツを、手繰り寄せるように掴んだ。 こんな最初から深く深く繋がるキス どんなに僕を求めていてくれたのか……… それが分かって、目頭が熱くなる。愛しさで泣きそうになるなんて初めてだ。 長い時間をかけてお互いを確かめあった後、唇がゆっくりと離れていく。 「……まだ足りないけど」 そう言って微笑むあなたがもっと愛しくて…… 「……明後日の夜まで、時間はたっぷりあるよ」 本当はそれだけじゃ足りないぐらい、僕もあなたを欲してるけど、その言葉は胸にしまった。 「……腹減ってないか?」 靴を脱ぎながらあなたが言う。 「うん、飛行機に乗る前に食べたから、コンビニおにぎりだけど…あなたは?食べてないんじゃない?」 「俺も、後輩の差し入れのおにぎり食べた……ってことは……」 あなたが一人頷いたと思った瞬間、膝裏にあなたの腕が入って抱き上げられた。 そのまま、部屋の中に入って行く。 「ち…ちょっと」 「ん?」 僕の制止も聞き流して進むあなた。落ちそうになりながら必死で掴まっていると、あっという間にベッドに降ろされた。 「まっ………待って、シャワー浴びたい」 「だめ、無理、待てない」 いつもなら僕の気持ちを優先してくれるのに、はっきりと「だめ」と言われたことで逆に気持ちは高ぶっていく。 このまま身を任せて、今日は、めちゃくちゃに抱かれてしまおうか…… 耳元であなたの熱い吐息が漏れる。 僕を抱きたくて、らしくない行動をしているあなたが愛しい。 ふと顔を上げたあなたが、切なく僕を見つめる。 「……シャワー、俺が先でもいい?」 やっぱり僕の願いは優先してくれるんだ…… 口許を緩めながら「うん」と答えた。 ガバッと身体を離して、バタバタと部屋を出るあなた。 ………そんなに慌てなくてもいいのに 僕も身体を起こして、部屋の中を見回す。 ここがあなたの仮の部屋………
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