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シャワーを浴びに行ったあなたを見送って、写真でしか知らないあなたの部屋を見ていたら、堪らなく寂しくなった。 ここで起きて食事をして、仕事に行って帰ってきて眠る。 僕の知らないあなたの日常がここにある。 僕の知らないあなたがここに……… 喉の奥に何かが詰まったような苦しさを感じて、僕はベッドを出るとシャワールームへ向かった。 服を脱ぎ捨て扉を開けると、薄い靄の中にあなたの背中が見えた。 ………大好きな背中 大きくて広い肩、綺麗な曲線の先にある括れた腰。 僕はその背中に、手を伸ばす。 浮き出た背骨に触れると、もう我慢出来なくて、あなたの腰に腕を回し抱き締めた。 「……一緒に浴びてもいい?」 少し驚いたあなたの身体。その肌に手を滑らせると、さっきの息苦しさが和らいでいく。 「……フフ…久しぶりの感触」 二ヶ月振りに触れるあなたの肌の感触は、この手が覚えてる。 初めて触れてから、何百回と触れてきた肌。 溢れそうになる想いを隠して肩に頬を乗せ、ゆっくりとあなたの中心に手を下ろす。 「……っ」 あなたの切ない声に、一気に身体が熱くなると、振り向いたあなたの唇に心ごと飲み込まれた。 「……ぅ……んん……ぁっ」 絡み合う舌と、擦れ合う熱。 さっき感じた寂しさなんて、吹き飛ばすほど僕を求めるあなたが愛おしい。 「もう遠慮はしないからな」 あなたの言葉が嬉しくて身体が震える。 「………僕も」 言った瞬間、二人の熱を合わせて握ったあなた。 「あっ……だ…め……むり…ぁ」 久しぶりのあなたの手の感触に、あっという間に上り詰めてしまう。 「……可愛い」 僕を見つめるあなたの顔が、ドキッとするほど漢で…… 「……ずっと…こうしたかった」 だんだんと、息が上がるあなたの声が艶めいて……… 「……ぁ…ぁ…あぁ……いっ…」 僕たちは二人同時に一度目の熱を放った。 肩で息をしながらお互いを見つめて、小さく息を吐いて笑いあう。 「……俺たち、相当飢えてたんだな」 クシャって笑うあなたが可愛くて、僕から唇を押し付ける。 チュッと音のするキス。 「……ああ………もう、この小悪魔」 髪を片手で撫で上げたあなたが、シャワーを僕に向けて思い切りかけた。 そのまま二人で、じゃれ合いながらシャワーのお湯をかけ合い、お互いの髪を洗い合う。 幸せに心が満たされていく……… ………こういう時間にも飢えてたんだよ
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