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8
お互いの独占欲で、朝まで愛し合った次の日。
気だるい身体の僕が目にしたのは、すっかり支度の終わったあなた。
今日は休みなのに……
一日、二人でベットで過ごす約束は?
「……おはよ…起きてシャワーを浴びておいで」
額に唇が触れると同時に、身体が起こされた。
「…………身体が痛い」
「………」
少し困った顔をしたあなたが、今度は唇に軽くキスをする。
「……今日はベットに居たい」
「……ごめん……でも一緒に行きたい所があるんだ」
「……どこ?」
僕の質問を笑顔ではぐらかし、部屋の扉を開ける。
「今日は、みんな仕事らしい。寮には誰も居ないみたいだ。お前の部屋で待ってるから、行っておいで」
頬を膨らませて、抵抗した僕をさっさと追い出したあなた。
誰も居ないなら、余計に二人でゆっくり過ごしたいのに………
しぶしぶシャワールームに入ると、鏡に写った自分の姿に驚く。こんなに愛されたの?
「…あぁ。まだ余韻に浸っていたかった」
鎖骨の下についた赤い印に指で触れ、僕は頭からシャワーを浴びた。
髪を乾かされ、着る服まで用意をされ、連れ出された僕。車に乗せられ連れて来られた場所は、真新しいマンション。
「……誰の家?」
相変わらず質問に答えず、僕の手を握ってどんどん進んで行くあなた。
ある部屋の前まで来ると、おもむろにポケットから鍵を出した。
「えっ?」
扉を開くと、背中を押され中に入れる。
中は、日当たりの良いワンルーム。
広い部屋には壁らしい壁はあまりなくて、数本の柱が立っているだけ。
部屋の奥、大きな窓の側にはダブルサイズのベット。
それ以外の家具は何もない。
ここはいったい………
「……どうだ……いい部屋だろう」
呆然と立ち止まってしまった僕を、後ろから抱き締め耳元であなたが呟く。
「……いい部屋だけど……ここって……」
「……俺達の家……にしないか?」
「……えっ?………俺達って…」
「……そう。俺とお前。寮を出て、二人で暮らさないか?」
「………」
突然のことに、言葉も出ない………
「……もう、朝でも夜でも…周りを気にすることなくお前と愛し合いたい。本当は、ここから出したくないぐらいだ……」
抱き締められる力が強くなる。
「……毎朝、あなたの顔見て起きられるってこと?」
僕の一言に、パッと顔を上げたあなたが僕を抱き上げた。
バランスを崩して、慌てて首に腕を回すと、歩きだしたあなたが、ベットに僕を優しく降ろす。
「……ち……ちょっと待って……まさか……」
「……うん……もう契約したんだ。今から俺達の家だ」
あなたの幸せそうな顔を見たら、もう何も言うことはなかった。
腕に力を入れあなたを引き寄せる。
望み通り、二人でベットで過ごす一日が始まる……
………僕達の新しい家で
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