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バシャバシャと足元の水たまりを震わせながら走りこんだのは中学三年の女の子。傘は持っているのだが、それはぐにゃりとお月様の様に曲がっていた。
これは学校の傘立てに置いていたらふざけた男子にチャンバラごっこにでも使われたのだろう、無残なことになって今はその役目をはたせずに開きもしない。
律儀に壊れた傘をもって駆け込んだ彼女は、雨に降られてしまったその雨粒をハンカチで拭いている。
普段なら彼女も隣のバス停を使うのだが、今日はこんな理由で利用者となっていた。
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