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「…新人だしまだ分からないか、でもこれくらいは知ってるもんだと」
「そうですか、バスケで県大会出場。へぇー…」
「君は若いから、よそでも上手くやれるよ」
就職活動は全然上手くいかない。
物価の高い都会で、生活を繋ぐために始めたアルバイトも、物覚えが悪くて足手まといになる。
でも、金がなければ、生きていけない。
気づけば、憧れの東京で生活するという夢を見る暇はなくなって、機械のように命を繋ぐ為だけに、働くようになっていた。
コンビニのシフトは週5。掛け持ちで夜勤の介護のバイトも入れた。
汗水垂らして貯めたお金は、生活費と、慣れないタバコに消えていく。
もはや、東京にすがりつく必要もあるのか分からない。ここに来る際、猛反対されて村の奴らとは揉めたから、半ば意地なのかもしれない。
そんな無味無臭の生活には、普段より心無い言葉が刺さる。
あ、今月の光熱費いくらやっけ…。
「ちょっとお兄さん、レジ早くしてよ!」
コンビニの制服をまとっても、スーツを着ても、大人にはなれない。
「…あ、はいっ!す、すみません」
「ったく、ぼーっとしてんなよ」
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