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いつからだろうか。
誕生日ケーキの上に立つ、ロウソクの数が増えるのが嬉しくなくなったのは。
「きっとリョウタくんなら、素敵なサッカー選手になるねぇ。お誕生日おめでとう」
いつからだろう。
毎年、歳を重ねていく事が、プレッシャーになってきたのは。
「細川なら西高校だって余裕だろ!お前頭良いし」
「リョウは凄いよね、運動も勉強もできて」
いつからだっけ。
「誠に残念ではございますが、今回は採用を見送らせて頂くこととなりま」
「細川様の今後のご活躍を心よりお祈り申し」
誕生日を祝うどころか、自分の生まれた日すら忘れた日々を送り始めたのは。
待ちゆく人々の心を満たすのは、膨れ上がった承認欲求、自尊心、エゴばっかりで。
見え透いたお世辞の数々が飛び交うビル街は、そんな汚い言葉のせいで淀んでいる。
薄汚れた都会の端っこで、考える。
何本目か分からない、手にしたタバコ。
そのせいで、俺もきっと、汚れてく。
綺麗な、だが色あせた思い出のせいで、現状なんか余計に見たくなくなる。
もうとっくに大人になったのに、過ごした時間に比例するように、上手くやれなくなったのはいつからなのか。
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