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みみこは、高校の時のクラスメイトだった。試験前になると、ノートを貸してやる間柄だが、別に友達だったわけではない。単にずうずうしいだけの同級生だ。それは今もまったく変わらない。
そして、ノートを貸しても勉強を教えても、みみこの成績はいつも変わらず、最下位だった。頭が悪いのだ。だから猫には気を使えても、人間様には使えない。
鼻先に紅茶を差し出されても、リューイチは目をくれようともしない。そこで聖良は、
「リューイチくん起きる気ないみたいね。よっぽど眠いのかな」
言ってみたが、みみこは首を振る。
「うんにゃ、あれは様子見てるだけ」
なるほど。丸まっているリューイチの耳だけがピンと立って、まるでレーダーのようにくるりくるりと動いている。
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