「ウチの猫、時々しゃべるけど、気にしないでね」

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 あいまいに答えた。口にすると、ますますむかついてくる。  そんな聖良の足をリューイチは鼻先でつついてきた。リューイチは開いたドアの隙間から、外に出て行こうとしているのだ。聖良はまた足でリューイチを追い払いながら、 「きっと彼女、明日まで帰ってこないと思います」  と答えた。すると宅配便の男は、 「それなら管理人さんに荷物を預かってもらうことにします」  と言って、時々こっちを振り返りながら、廊下を歩いていった。やっぱりリューイチのこと、管理人に言いつけるだろうか。  みみこには言い損ねていたが、聖良の同棲中の彼氏も、この土日、出張に行くと言って出かけて行った。休日出勤も滅多にしないのに、外泊の言い訳が出張。笑ってしまう。  隣の女は聖良に、彼と同じ日に旅行に行くとほのめかし、聖良にマウントを取りにきている。それなのに彼は、未だばれていないと信じている。呑気すぎて腹が立つ。
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