もういっかい

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「もう一回」 君はそう言うと、私をビルの屋上から突き落とした。 君は私と同じ高校で1番美しい顔立ちをしていて、人気者だった。 入学初日、私は君の姿に一目ぼれし、1年間ほど片思いを続けていた。そんなある日、君には恋人が出来た。私より優れてる恋人。流行のファッションをすべて詰め込んだような子。 私は許せなかった。一人で人気者の君が好きだったから。 こう見えて私は友人が多かった。内面のどす黒い感情を隠すために、外見だけでも明るく振る舞っていた。 今日も朝は友人と一緒に登校していた。 友達A「おはよ~! 今日のテストまじだるくね?1限だけとか効率悪いわぁ」 私  「確かに。もう帰りたい気分だわ…」 友達B「うっわー見て、またあいつらイチャイチャしてるよ~」 君の腕にあの子がまとわりついている姿が本当に気持ち悪かった。 もう朝からこんな気持ちにさせないでくれ…消えてくれ… そんなことをボーッと考えていると、カーブを曲がり切れなかった車が猛スピードで突っ込んできた。 ここで「私」の記憶が途絶えた。 気が付くとここは病室。何やら男の人が私の顔を覗き込んでいた。 もやが晴れると、そこには医師がいた。 君女「大丈夫○○? ○○、○○が起きたぁ!!」 私 「っ…え…なん…」 その人は私の心配をしてくれていた。でも、私は私ではなかった。 私の体は君の体になっていたのだ。 この身体が動くようになるまではリハビリ生活が続いた。君の体はなんて安定感があるのだろうと感心した。だか、骨にひびが入っていたので激しく動くことは出来なかった。 ある時、トイレに行こうと思い、歩いていると、私の名前が書かれた病室があった。 自分はどうなったのか、気になって入ってみると、ベッドには誰かがいた形跡はあったのだが、誰もいなかった。どこにいるんだろう、そう思った時、ベッド脇の机に貸し出し用松葉杖のカードがあった。 私の体の主はどこかを歩いているようなので、とりあえずトイレを済ませてから探した。 色々な場所を調べて、最後に屋上を探していないことに気が付いた。 階段を上り、屋上のドアを開けると、そこには私がいた。 君 「なぁ、そろそろ終わりにしないか」 私 「そうやってまた私のこと突き放すの?」 君 「何回やってもかわんねーよ」 私 「あっそ、じゃあ…… 」
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