お前のものは俺のもの

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 ──次の日  僕はいつも通り自転車を走らせ、学校の駐輪場へと向い、駐輪場に着くとそこには駿の姿があったんだ。  そうか、今日はバスケ部の朝練がない日だったんだね!  僕は「駿!おはよっ!」と声をかけ、駿も元気よく挨拶を返してくれたんだけれど… 「…ん?あれ、お前眼鏡どうしたんだ?」  いち早く僕のトレンドマークである眼鏡がないことに気付く駿。  僕はその場を凌ぐためにとりあえず… 「あはは…色々あったんだ、多分、教室に行けばその理由が分かるよ?」 「…はぁ?教室…?」  そう、僕の眼鏡は大和の手の中だ…  そして、今日もきっと大和が掛けてきてくれているはずだ…昨日はあんなに喜んで掛けていてくれていたからさ! 「とりあえず、教室に行こっ!」  話の内容が分かってない駿の手を僕は握りしめ、僕たちは教室へと向かって行ったんだ。  ──教室のドアをくぐり抜けるとそこには、いつも通り僕の席の前に大和が座っていた。  そして、次の瞬間…駿や他のクラスメイトの視線が僕たちに集まることになったんだ。 「大和、おはよっ!」 「…裕翔か、うん、おはよっ」  いつもは振り返ってくれなかった大きくて小さな背中を今日の大和は、ちゃんと僕へと振り返り、微笑みながら挨拶を返してくれたんだ。  そして…ぼ、僕の眼鏡…ちゃんと掛けてきてくれている…!  大和と僕の行動に周りのクラスメイトも…そして駿ですら驚きを隠せない様子で僕たちを見つめてきていた。  な、なんだよ…僕はこうしたかったんだ…!  みんなだって分かってるだろ…もうっ!  僕は周りの目なんてどうでも良かったんだ。  何より大和が教室で声を出して話してくれる事がとにかく嬉しかったから…うん、大和との昨日のひと時に嘘や偽りはなかった。  僕たちはちゃんと友達になれたんだね…?  そんな事を思いながら僕もニコッと大和に微笑み返したその時、駿が口を開いたんだ。 「あれ…?ん…!?山際、お前がしてるその眼鏡って…!?」  そうだ、眼鏡のこと!  う〜ん…駿になんと説明していいのやら…  僕は少し返答に困ってしまったけれど、大和が徐に言葉を紡いだ。 「ああ、この眼鏡か…昨日から裕翔のもんは俺のもんになったってことで」  そ、そこさ!はっきり駿に言っちゃうの!?  僕は恥ずかしさと共に条件を付けられた友達ってどうなんだ?そんな事を駿に思われてしまうのではないかなと、変な焦りを覚えてしまったんだ。 「はぁ?良くわけがわかんねぇ、裕翔はそれでいいのかよ?」 「僕っ!?えへへっ…よく分かんないけど、なんでか嫌じゃないんだよね…」  だって…僕のものは大和のものって言ったけれど、僕のものを渡した時、あんなに嬉しそうな顔をする大和を見ていたら、それでもいいのかも?なんて思っちゃったんだ。 「はぁ…まぁ裕翔がいいならそれでいいか…でも良かったな、やっと山際のこと振り向かせられてよっ!」 「も、もう!駿っ!恥ずかしいから大きい声でそんな事言わないで!!」  駿もなんやかんや、いつもの調子で「あははっ!」と笑ってくれたんだ。  そして、その光景に大和も大和で満更でも無さそうだ。  駿も含めて、これから三人で楽しく過ごせたら嬉しいな…僕はそんな事を思いながら、二人にニコッと微笑み返したんだ。
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