5 そして、口を開いた。

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「へぇ。皆に?」 「そう。ここがいいんじゃないか。誕生石はルビーだぞ、とかって。おっさんたちが携帯で検索し合ってさ。俺一人じゃ決められなかったから、頼もしかったよ。でも買いに行ったのは一人。一人だよ」 何故、そう一人を強調するのか。 樹里のアンテナの感度が、徐々に、徐々に上がっていく。 でも、まだ問い詰めない。 静かにコーヒーに手を伸ばす。 千裕はいつも通りだが、もう少し掘れば何かが出る。 そんな気がした。
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