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『ありがとう』
『明日会ってみようと思います』
戯ける余裕などなかった。
苦しくて、逃げてしまいたい。
でもこれは、樹里が一人で乗り越えなければいけないことだ。
よそ行きの顔を貼り付けられているうちに、千裕にメッセージを送ってしまおう。
気持ちが、揺らがないうちに。
緊張が高まり、携帯を握る手が汗ばんだ。
それを何度もハンカチで拭って、何とか操作する。
いつもならスムーズに動く指が、今はやたらと鈍かった。
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