213人が本棚に入れています
本棚に追加
樹里は覚悟を決めて、送信をタップした。
大きく深呼吸をしてみる。
意味などない。
ただ内に籠もった黒いものを吐き出せるような気がしたからだ。
鞄にしまおうとした携帯が震える。
心が、ピリリと信号を鳴らした。
『本当?』
『明日で仕事は大丈夫?』
いつものようにこちらを気遣うメッセージ。
千裕らしいと思うのに、胸が酷く疼いた。
彼が嘘を吐いていないのならば、明日は何てことない一日になるだけだ。
ケラケラ笑いながら、楽しく指輪の話でもすればいい。
それだけじゃないか。
最初のコメントを投稿しよう!